日本、「テロとの戦い」に関する法案に関する国連専門家からの質問へ抗議
5/22 Reuters -
Japan protests against U.N. expert's queries on bill to fight terrorism | Reuters
5月22日 ロイター通信
制定が予定されているテロや犯罪などの共謀を罰することを目的とした法案は警察権力が市民の自由と権利を踏みにじることを可能にする恐れがある、との懸念を表明した国連特別報告者から安倍晋三首相への書簡に対して、日本は異議を唱えた。
プライバシーの権利に関する国連特別報告者であるジョセフ・カナタチ氏は、ロイター通信へのメールで、菅官房長官による抗議のコメントは「本質的内容の無い怒声」であると強く非難した。
同法案は早ければ火曜日にも衆議院を通過し、施行への準備が進む。
2020年の東京オリンピック開催と関連し、国際犯罪とテロへ対抗することを目的とした国連協定を批准するためには法改正が必要であると、東京では主張されている。
同法案は個人の権利を犠牲にして政府の権力を強めるための、安倍首相の政策の一部であると、反対者は指摘する。
5月18日に送られたカナタチ氏からの書簡の内容は「明らかに不適切であり、我々は強く抗議する」と、菅官房長官は発言した。
「今回のケースは、発言の自由とプライバシーの権利を不適切に制限するために、独断的に実施されるような法律制定ではない。」と菅官房長官は付け加えた。
国連人権高等弁務官事務所のウェブサイト上に公表された書簡の中でカナタチ氏は、同法案の広範に渡る適用範囲は「表現の自由とプライバシーの権利を過度に規制することへつながる」可能性があると懸念を表明した。
同氏は安倍首相に対して、上記のような懸念の正確さと、国際的な人権規範及び基準と同法案の適合性に関しての情報を求めている。
「事実に関してのいかなる点が修正されるまで、また、修正されない限り、私は安倍晋三首相への書簡に書いた一言一句と共に立つ」とカナタチ氏はロイター通信へのメールで述べた。
「日本政府がこのように振舞うこと、また、深刻な欠陥を含む法案の制定をこれ程までに急ぐことに対する、正当な根拠は皆無である。」
日本弁護士連合会を含む同法案への反対者達は、今回の法改正は昨今の合法的盗聴の拡大と警察の監視権力を規制することに対する裁判所の消極的な姿勢と相まり、政府の政策へ反対する草の根運動の芽を摘むことになるとも警告している。
弁護士会は一般市民も標的にされ、組織犯罪やテロとは無関係の行動も法案が定める「犯罪」に含まれる恐れがあると懸念を表明している。
国連が超国家組織犯罪に対抗する協定を採用した2000年以来、日本政府は同法案と類似する法律を成立させようと3回試みている。
しかし、国会の両議院において3分の2の多数派を持つ安倍首相の連立与党は、沢山の反対と抗議にも関わらず、今回こそ同法案を制定するようだ。
日曜日に公表された共同通信の調査によると、この物議を醸す法案に対する有権者の意見は分かれており、賛成が39.9%、反対が41.4%となっている。
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