ワールドニュース:注目の記事

The New York Times, Huffington Post, Bloomberg, Al Jazeera, BBC, The Japan Times...などの注目記事を邦訳

イギリス最高裁、学校を休ませ娘をディズニーリゾートへ連れて行った父親に罰金を課す判決

2017/4/6 from The New York Times.

https://www.nytimes.com/2017/04/06/world/europe/britain-vacation-school-disney.html?smid=tw-nytimes&smtyp=cur

 

ロンドン ー イギリスの最高裁判所は木曜日、自身の娘に学校からの許可なく授業を休ませ、米国フロリダ州のディズニーリゾートへ連れて行った父親の行動は法律違反であり、父親は罰金を払わなければならないという旨の判決を出した。

 

学校への出席を義務化しているイギリスには、厳格な「無断欠席禁止法」がある。今回の件は、親が子育てをする権利の範囲内なのか、それとも無断欠席禁止法違反なのか、イギリス国内で議論を巻き起こしている。

 

父親であるジョン・プラット氏は、イギリス政府は個人の判断にまで必要以上に関わろうとしており「余計な御世話で、政府は子供にとって何が一番良いかを決める最終決定者ではない。」と主張している。

 

18ページに及ぶ最高裁判所の判決文は、父親には病気などの「妥当な理由」なしに娘に学校を休ませる権利は無いとして、プラット氏の主張を支持した2つの下級審の判決を退けた。

 

今回の一件は、2015年1月にプラット氏が当時6歳の娘をディスニーリゾートへ連れていくため、学校へ欠席を申請したことから始まった。

 

学校は欠席を許可しなかったが、プラット氏は娘と共にディズニーリゾートへ行き、娘は4月13日から21日の7日間学校を欠席した。プラット氏は120ポンド(約1万7千円)の罰金を課された。

 

ディズニーリゾートへ行く以前、プラット氏の娘の出席率は95%であり、旅行による欠席後も出席率は90%は維持していた。90%〜95%の出席率は一般的に学校が求める水準であり、私は何も悪いことはしていないとプラット氏は主張している。

 

地方下級判事と控訴審はプラット氏の主張に同意したが、地方審議会がこの件を最高裁まで持ち込んだ。

 

ブレンダ・ハイレ最高裁判事は判決文で、無断欠席禁止法が規定している学校への「定期的な」出席義務は、「学校が定める規定に基づく」出席義務であり、プラット氏の主張する「十分な程度、出席すれば良い」という意味ではないと述べた。

 

判決文ではさらに「"十分な出席率"とは何をもって測るのか?どの程度出席すれば"十分"なのか?成績の良し悪しは欠席を正当化する理由になるのか?出席率と教育の成果との間に明らかな統計的な関係性があるだけではなく、学校を無断で欠席することによる甚大な影響の方が重要な問題だ。」と続けた。

 

無断欠席による甚大な影響には、補習授業への参加、グループ学習からの遅れ、他の生徒への影響、といったことが含まれる、とされた。

 

「何よりも、一人の生徒が親の都合によっていつでも欠席してよいのならば、他のすべての生徒も同じことが出来るはずだ。」と判事は述べた。

 

無断欠席禁止法の歴史は1870年に、国会が公立小学校の設立を支援し、裁量権のある地域教育委員会に対して、5歳から12歳の児童に出席を義務付けた時まで遡る。

 

イギリスの学生は16歳で学校へ行くことをやめることが出来る。しかし、イングランドでは18歳まで、職業訓練を含め、何らかの形で教育機関に所属し続ける必要がある。

 

判事は、プラット氏の娘の母親が2015年2月に娘を5日間無断欠席させたことで罰金を課されていることも指摘した。「母親も以前に全く同じことをして、罰金を払っている。」と述べた。

 

イギリス教育省は木曜日、国会が「特別な事情による欠席を認める権利は、教師にある」ということを認めたことは喜ばしい、とする声明を出した。

 

学校選択の自由と地方自治を支持する保守政党出身のテリーザ・メイ首相も、教師達が学校の方針を決めることができる権利を擁護した。

 

保守的雑誌「The Spectator」のライターでジャーナリストのトビー・ヤング氏は、プラット氏は「強大な国家に挑む保守系ヒーロー」として見ることも出来るかもしれないが、「彼が道徳的怒りを感じ主張していることは、海外航空券が安い時期に家族旅行へ行けるようにするため、娘の教師を困らせることの出来るようにする権利なんだよ。結局のところ、まったくもって高貴な信条ではないね。」と述べた。

 

しかし、左派民主党の教育関連報道官ジョン・ポウ氏は、裁判所の判決は融通がきかな過ぎると指摘し、「多くの従業員たちは、いつ休暇をとるかを選択することが出来ない。コストが最も高くなるピークシーズンには、金銭的な問題で旅行へ行くことが出来ない人達もいる。」と述べた。

 

元記事→

https://www.nytimes.com/2017/04/06/world/europe/britain-vacation-school-disney.html?smid=tw-nytimes&smtyp=cur