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性的マイノリティーの60%が学校でのイジメを経験、調査により判明

2017/4/5 from The Japan Times

ここ数年間、日本国内全域にわたりLGBT(同性愛者やトランスジェンダーなど)の保護の強化が進められてきたが、約60%の性的マイノリティーが学校でのイジメを経験したことがあると、オンライン調査により判明した。調査では、教師がイジメの解決に動き出さないケースも報告された。

 

社会疫学が専門の日高庸晴(ひだかやすはる)宝塚大学看護学部教授により実施されたオンライン調査によると、回答者の58.2%が小学校、中学校、または高校でイジメを経験したと回答しており、言葉による誹謗中傷が主な内容であった。

 

「教師が問題の解決に動いた」と回答した者の割合は、わずか13.6%に留まった。

 

今回の調査の結果は、JGBTの生徒に対するサポートの欠乏を浮き彫りにしている。

 

ライフネット生命株式会社により昨年の7月から10月にかけて、10代から90代の約1万5千人を対象にLGBTに関する世論調査が実施された。今回の調査は日本国内で行われた最大規模の性的マイノリティーに関する世論調査であると、日高教授は言う。

 

回答者の約70%が「同性愛に関して学校では何も教わらなかった」と回答した。

上記のように回答する割合は、40代以上で高く、10代と20代では低くなっていた。

 

また、同性愛を「異常」なものであるとして学校で教わった、もしくは、性的マイノリティーに関する否定的な意見を教わったという回答者は全体で20%以上となり、そのように回答する割合は若者世代の方が高かった。

 

2015年4月には、教育庁が性的マイノリティーの保護の強化を教育委員会へ要請し、教師向けに性的マイノリティーに関するパンフレットも作成されたが、「そういった取り組みにもかかわらず、教師のLGBT関連問題に対する理解は深まっていない」と日高教授は言う。

 

日高教授が2011年から2013年にかけて、幼稚園から高校までの6000人の教員を対象に行った別の調査では、70%の教員が「個人の性的関心の志向は個人の選択により決められている」と考えていることが判明した。

 

同調査では、LGBT関連の話題について生徒に授業を行ったことのある割合は13.7%に留まり、また、授業で一度もLGBTに触れたことがないと回答した教員の40%以上は「教える必要があるとは思わなかった」と回答した。

 

「多くの教員が(LGBTに関する)知識を持っていない。自分が担当する教室に、性的マイノリティーの生徒がいる可能性があるとは、想像すらしないのです。教員に対してしっかりとした研修を実施することが大切です。LGBTに対する理解を持たない教員が、その問題を生徒に教えることは出来ません。」と日高教授はジャパンタイムスの取材に答えた。

 

最新の調査では、約70%の回答者が学校や職場での差別的な発言を経験したと答え、自身の周囲の環境がLGBTフレンドリーであるとの回答は約30%に留まった。

 

LGBT問題に向き合い始めている会社の数は増えてきているが、その多くは東京にある企業、もしくは外資系などの大手企業に限られている。日本社会が民間・公的機関問わずに、性的マイノリティーへの理解と尊重を深めるには、まだまだ先は長い。」と日高教授は言う。

 

博報堂(株)により立ち上げられたシンクタンク「日本LGBT研究所」の推定によると、日本人の約8%、13人に1人、が性的マイノリティーと分類される。

 

元記事

www.japantimes.co.jp